素直な気持ち~好きになってもいいですか?~

「何、複雑そうな顔をしてんだよ!」


ヤバッ!

私、顔に出ていた?


水沢くんはさっきの寂し気な表情とは違い、にこにこと笑顔で私を見ている。


「複雑な顔って……。何もないよ?ってか、私も帰ろうかな」


気まずさから逃げるように、私は席を立つ。


「あっ、待って。一緒に帰ろう」


えっ!?何で?


私は驚き、水沢くんを見る。


「そんなに嫌がらなくても……」


私はまた顔に出ていたのか、水沢くんは苦笑いになる。


「い、嫌じゃないけど……。ただ、ちょっとびっくりしただけ。っていうか、私なんかと帰ったら、ファンの人達が良く思わないでしょ」

「ファンって……。俺がいいなら、関係ないんじゃない?だって“友達と帰って何が悪いの?”って感じじゃん」


水沢くんは笑顔でそう言い切った。