亜希に無理矢理キスをされた日以来、亜希はたまに学校の前で俺を待つようになった。


だけど、亜希と付き合う気もない俺は、いつも


「来るな」


と、追い払っていたけど。


それでも、亜希は懲りずに俺の所に来ていた。





ある日の放課後――…


今日も若菜ちゃんと話す事なく、俺は一人帰ろうとしていた。


若菜ちゃんと話さなくなって、“別れた”とか噂が流れてから、いろんな女の子が話し掛けてくるようになった。


だけど、俺はそれに応える事はしない。


そして、今日も一人で帰ろうとしていたら


「水沢くん!一緒に帰ろう!」


下駄箱の所で、中村が声を掛けて来た。


「ごめん、一人で帰るわ」


中村に冷たくそう言うと、俺は靴を履きかえ、校舎を出た。