「若菜、ごめんね。一人にして」


橘くんが部屋を出た後、繭花は申し訳なさそうにする。


私は顔を横に振り


「私こそ……、ごめんね。せっかくデートしてたのに」


橘くんのおかげで、落ち着きを取り戻してきた私は、少しずつ話せるようになってきた。


「ねぇ、若菜……」


繭花は少し考えた表情を浮かべ、私を見る。


「こういう事、今回が初めて?……学園祭の後くらいから、ずっと若菜の様子がおかしかったけど。
学園祭から、もう2ヶ月くらい経つよ?もしかして、ずっと黙ってたの?私、“自分の中に溜めずに話して”って言ったよね?」


やっぱり繭花、気付いていたんだ……