素直な気持ち~好きになってもいいですか?~

「じゃぁ、触るからな」


そう言って、橘くんは優しくそっと私の肩に触れる。


そして、私を抱え込むように立たせてくれた。


「とりあえず、帰ろうか」

「うん……。でも……」

「どうした?」

「一人で、居たくない……。怖い……」


今は橘くんが居てくれる。


だけど、寮に戻れば一人になる。


寮の中に居れば安全だし、また上原くんに襲われる事はないけど。


一人で居るのが怖かった。


誰かに一緒に居てほしかった。


「山梨達は?」

「……出掛けてる」

「日向、携帯貸して」


私は制服のスカートのポケットから携帯を取り出し、橘くんに渡す。


橘くんは、携帯を受け取ると、私の携帯からどこかに掛けた。