「少し前の事だけど……、橘くんにキス、された……」

「「はぁぁ？」」


私の言葉に二人は驚いた。


「何で!?」


胡桃は、“わけがわからない”って顔をしていた。


「その時は、嫌がらせって言われたけど」

「若菜。もしかして、その事があるから水沢に言えないの？」


私はコクンと頷く。


「でも、若菜は無理矢理されたんでしょ？アンタ浮気なんて出来ないもん。そんな器用じゃないし。っていうか、橘に無理矢理されただけなんだから、その事は考えずに水沢にちゃんと昨日の事はどういう事なのか聞きなよ」

「でも……、聞けないよ。……本当の事を聞くのが、怖い」


涙が止まらなくなった私は、俯きながら涙を拭う。


「……わかった」


繭花はため息を吐き


「でも、若菜。何かあったら、自分の中に溜めずに、すぐ私達に話すんだよ？」


泣いている私の背中を優しく撫でてくれた――…