びっくりしながら、扉の方に視線を向けると、そこには橘くんが居た。


橘くんは、私に近付いてき……


「はぁ……。心配させるなよ」


大きくため息を吐くと、私をそっと抱きしめる。


全ての気力を無くしている私は、橘くんに抱きしめられても嫌がる事すらしなかった。


「ねぇ、橘くん……。なんでそんなに優しくするの?私の事、何とも思ってないんでしょ?……昔、フったじゃん……」


直接、フラれたわけじゃないけど。


だけど、橘くんは私の事をフったのに。


何で、こんなに優しくするんだろう。