「昨日、橘と何かあった?」


私の目の腫れに気付いた水沢くんは、さっきの口調とは違い、さっきより優しい声色で聞く。


な、んで……?

水沢くん、女の人とキスしてたよね?

なのに、なんで橘くんの事になるの?


「何もない……」


水沢くんに本当の事を聞く事が怖い私は、そうとしか答えらえなかった。


「そんな目ぇして、何も無いわけないだろ!!
それに、若菜ちゃん、最近ずっと様子おかしかったよね?なんで俺に何も言わないんだよ。俺ってそんなに頼りない?」


何で?

どうしてそんなに怒るの?

それは、やましい事があったから?


水沢くんの私を見る目は、怖かった。


私は怖くなり余計に何も言えなくなってしまった。


「もう、いいよ」


水沢くんは怒って教室の方へ歩き出した。


一度も振り返る事なく……