素直な気持ち～好きになってもいいですか？～

「なぁ、水沢。今日、日向借りていい？」


橘くんは水沢くんに声を掛けた。


なんとなく気まずくて、私は橘くんの後ろに隠れていた。


そして、水沢くんの事が見れない私は俯いていた。


だけど、水沢くんの視線を感じる……


ごめんなさい。


私は俯きながら、心の中で謝っていた。


「今日、中学の時の友達と会うんだよ。日向と同じクラスだって話したら、みんな『日向を連れて来い』って言うんだ。だから、いいだろ？」


俯いて何も言わない私の代わりに、橘くんが説明してくれた。


「あぁ、わかった。それじゃ、俺、帰るわ。また明日な」


そう言って、水沢くんが席を立つ音が聞こえた。


ずっと俯いたままだった私は、結局、水沢くんの帰って行く後ろ姿しか見れなかった。


水沢くんが教室を出た後、私も橘くんと教室を出た。