俺はずっと黙って俯いている若菜ちゃんに


「ごめんね、帰ろうか」


極力、明るい声で言った。


ベンチから立つと、俺に続いて若菜ちゃんも歩き出す。


だけど、並んで歩いていたさっきとは違い、俺の後ろを若菜ちゃんは歩く。


少し離れて歩く若菜ちゃんを気にしながら、俺は寮までの道を歩く。


寮に着くと


「若菜ちゃん。俺、本気だから。俺との事、考えてくれないかな?……じゃ、明日がんばろうな!」


明るくそう言って、俺は駅に向かって歩いた――…