素直な気持ち~好きになってもいいですか?~

クラスの応援席に戻る途中……


俺は若菜ちゃんの隣で緊張していた。


若菜ちゃんの隣で、緊張のあまり無言のまま歩いていると


「ねぇ……。水沢くんが引いたカードって何が書いてあったの?」


やっぱりジンクスを知らないのかな?


「えっと……、お姫様抱っこ」


“好きな人を”というのは言えず、俺はそう答えるのが精一杯だった。


「また後でね」


これ以上聞かれないように、俺は普通を装いながら、若菜ちゃんと別れた。


リレーの集合場所に向かう途中、同級生や先輩に冷やかされたけど、そんなのは耳に入らなかった。


そして、午後の競技も終わり、体育祭での順位は総合3位だった。


正直、今の俺には、そんな事どうでもいい。


俺は、放課後の事で頭がいっぱいだったから。