「あのね……」


話し出した途端、涙が溢れてきた。


別に、今日、何かされたわけでも、何か言われたわけでもないのに。


「若菜……。ゆっくりでいいから」


繭花はすごく優しい表情でそう言いながら、私の背中をさすってくれた。


少し、落ち着いた私は


はぐれた時、中学の時に好きだった人を見掛けた事


中学の同級生や、その好きだった人に会いたくなくて、走って逃げた事を話した。


「その人って……、えっと……名前忘れた。前に話してくれた、最低なヤツだよね?」

「うん、そう……。橘くん」


私は繭花の質問に、頷き答えた。


そう、それは、私が中学生だった頃の事――…