「あぁ。また、はぐれたらダメだろ?だから」


冗談っぽくそう言いながら、俺は繋いでいる手を上にあげた。


“はぐれないように”


それは嘘ではない。


だって、またはぐれたら、心配になりすぎて、俺がどうにかなりそうだ。


って、まぁ、本当の理由は、ただ、俺が若菜ちゃんと手を繋ぎたかっただけなんだけど。


理由を付けてでも、若菜ちゃんと手を繋ぎたかったんだ。





俺達は渉達と合流した。


と、同時に花火が上がった。


「キレイ……」


胡桃ちゃんや繭花ちゃんは、花火を見てボーッとしていた。


なのに……


若菜ちゃんは俯いたままだった。