あっ、いた!


俺の視線の先に、俯いて走っている若菜ちゃんが見えた。


俺は人にぶつかりながらも、若菜ちゃんに追い付こうと必死に走った。


そして、俺は若菜ちゃんに追い付き、若菜ちゃんの腕を掴む。


すると、一瞬ビクッとした若菜ちゃんは、恐る恐る振り返る。


「はぁ……、よかったぁ。……見つかった」


若菜ちゃんの顔を見た俺は安心した。


「急にいなくなるから、びっくりしたよ。みんなも心配してるから行こう」

「ごめんなさい……」


若菜ちゃんは俯いて謝っていた。


「……若菜ちゃん?何かあった?」


明らかさっきと様子が違う若菜ちゃんに気付いて、俺は若菜ちゃんの顔を覗き込む。


「ううん、何でもない。大丈夫だよ」


若菜ちゃんは、にこっと笑って答えた。


だけど、その表情は今にも泣き出しそうな顔をしていた。