胡桃ちゃんは寮だから、一緒にいられる時間が限られているらしい。


そんなに厳しくはないけど、寮には門限が一応あるんだって。


うちの学校は、“生徒の意見を尊重する”という自由な校風だから。


寮もだけど、校則もそんなに厳しくない。


だけど、あまり遅くなるのは良くないと、出来るだけ早めに胡桃ちゃんを寮に送っていくらしい。


ブー ブブー……


教室に残っていた繭花ちゃんが携帯を取り出しメールを見る。


そして、若菜ちゃんと少し喋ってから、手を振って嬉しそうに教室を出て行った。


教室には、俺と若菜ちゃんが残った。


若菜ちゃんは繭花ちゃんの後ろ姿を見ながら


「はぁ……。いいなぁ、二人とも……」


そんな事をぼそっと呟いた。