そんなクラスの誰かの声を無視して、俺は教室を飛び出した。 校門を出て、迷うことなく真っ直ぐ、巧の家へ向かう。 巧の家が学校の近くでよかったと、初めて心のそこから思った。 チャイムを鳴らす。 なんだか最近、こんな風景が多いな。 そう思うとなんだか、おかしくなって。一人で小さく笑った。 『・・・はい』 インターホンから、男の低い声が聞こえてきた。 その瞬間、俺は笑うのをパタリと止める。 久しぶりに聞く、巧の声だった。