電気をつけて、床に座る。
「あのさ、普通は男と部屋を一緒に使うことにつっこまない?相部屋の人が困るとか、なかなか出てこない発想だよね」
まあ、確かに。
「だけどそっちが優先な話だよ。気持ちはあり難いし、気遣ってくれているのも分かる。けど、もうすぐ夏休みに入るし、お互い夏の大会だって控えてる大事な時期だし。……言ってること分かるよね?」
「分かってるよ。だけどさ、今日の蒼乃は異常すぎ」
「…………」
“異常”。
心臓が揺れた。
動揺なんかするな、冷静を保たなくちゃ。
こんな事でいちいち感情が上下していたらいつまでたっても、弱虫のまま。
揺れた心臓を落ち着かせるように、右手で心臓辺りを摩る。
「昔を思い出すと、ああなるだけだから。…あんまり、過去のこと話すことなかったし。だから、そうそれだけ」
「なら尚更傍にいなきゃ」
今の話をちゃんと聞いていたのか、お前は。
ぽかんとした表情で彼の瞳を見つめると、小さく頬笑み返してきた。
「心細いだろ?そうじゃなくても誰かに傍にいてもらいたいとか、…ない?」
「ない」
「あー、そお」
即答で返すと陸嵩はがくりとうなだれた。
心細い、寂しい感情とは逆に一人になりたい気持ちのほうが強い。
だかそう言ったらせっかく心配してくれた陸嵩の気持ちを踏み躙るだろう。



