テラスに向かい、お決まりのベーグルとサラダ、そしてホットミルクをトレーに乗せる。
日の当たるテラスを見渡してみると茶色の髪の毛が、キラキラと反射している場所を発見。
そこに向かうとうつ伏せになっている陸嵩の姿があった。
どうやら(勉学科、文化科とは授業日程が違うため)4時間目はなかったらしい。
起こさないように音を立てまいと、ゆっくりトレーを置く。
だが気配に気付いたのか、茶色の髪が揺れた。


「ん、あ。あー…、寝てた」


ふにゃ、っと寝起きの笑いを見せると両手を伸ばし背伸びをする。


「4限なかったんだね」
「そ。だからこのテラスの一番人気の場所を取っておこうと思って」


そう言って、間を置くと陸嵩はまたふにゃ、っと笑った。


「日が当たって気持ちよすぎたから、つい」


確かにここは日当たりが良く、かと言って熱すぎず、冬でも寒すぎず、適度な温度を出してくれる。
絶対此処に座りたいという願望はないが、やはり適温な場所で過ごすのは心地がいい。
お礼を言いつつ、イスに座る。


「おっ、ベーグルかあ。俺もそれ好きだな」
「美味しいよね」
「なあなあ、麺だと何が好き?」
「麺?ラーメンとか?」
「そおそお」


興味津々な彼の笑顔が眩しい。
初めて会った時は雲に隠れて良く見えない太陽の印象だったが、今は正にそのまんま太陽みたいだ。
私はベーグルを千切り、口の中に入れる。


「あっさり系が好きかな。普通にトンコツとか味噌も好きだけど、頼んじゃうのは塩とか醤油」
「へえ。じゃあ、俺と逆だ。俺はこってり系が好き」


にかり、と歯を出して笑う。


「味噌にバター入れて食べるのとか、すんげえ上手いよ!」
「バターか…、それは初耳」
「俺の実家の近くに凄い美味しいラーメン屋あるんだ。そこのおすすめメニューがそれ」


暫く他愛のない話に花が咲いた。