小さくなっていく飛行機。
希望と期待を胸に飛び立った蒼乃を陸嵩はようやく今送り出せた。
陸嵩の綺麗な瞳に映る青色の空と白い雲はキラキラと光り、彼もまた希望を胸に抱えているのだと感じさせた。



「……ところでさ」
「はい?」
「お前、蒼乃とどこまでいったんだよ」



ちょっとドスの入った声を耳元で発せられた陸嵩はビクリと肩を震わせた。
恐る恐る顔を見てみると、意地悪そうに笑う雪兎の顔。
途端に真っ赤になる陸嵩を見て雪兎がケラケラと下品な声を出して笑い出す。
耳まで染まる赤色はりんごよりも赤いに違いない。



「ラビ先輩のアホォォオォ!」




青空に響いた陸嵩の叫びは木霊して暫くの間、消えないだろう。



空に一筋の飛行機雲が浮かんだ。
波を打ったその雲は、ふわふわと風に吹かれそっと空の蒼に溶けていった。