年が離れていようがいまいが、此処にいるのは雪兎なのだから、これから何も変わることはない。
それだけ自分の中で分かっていればいい。
大丈夫だよ、と言って陸嵩に笑いかけると(何が大丈夫なのか分からないが)、彼も混乱していた脳みそが少し戻ったようだ。
水を一口入れると、息を吐いた。
「なんでそんな重大な事黙ってたんすか!……1個上ならまだしも3個上の人に俺は大分失礼な事をしてきた気がするんですけど」
「……ぶ、今更だろ。これからもそれでいいし、気とか使われても逆に、……なあ」
そう言って此方を見られ、こくりと頷く。
「……でもどうして、学校は?留年とか?……苗字も違うし」
私の問いに、俺も気になった、と言って頷く陸嵩。
苗字に関しては大体想像がつくが。
「ああ、高校1年時に親が離婚してさ。前まで“橋本”だったけど今は“塚田”じゃん?母親の方に引き取られたんだ」
薄い記憶を辿ってみる。
雪兎の両親は共に優しく、仲のいい夫婦だった気がする。
まあ月日がたつに連れてそれが変わっていくのも分かる。
「あ、そん時の高校はここじゃなくて県立の高校行ってて。んで、離婚に反対だった俺は、それを止めようと反抗心で学校をサボりまくり、結局親は離婚」
残念でした、と言うように首を振る。
「なんか全部にムカついて、学校とか行く気失せて。そんで挙句に取り立てだったバイク事故を起こして、全治3ヶ月。これが16の時ね」
「なんか壮絶っすね」
「まあな。……で、退院して学校辞めて、街のストリートのスポーツ公園とかでバスケやってたんだよ。すげえ楽しくてさ、次第に仲間も集まってきて、チーム作ったりして試合して。地元じゃ結構有名になるくらいまでなったんじゃねえかな」



