学園マーメイド



結局、コーチには安静期間として2日プールに入ることは禁止された。
その間はとにかく筋トレをしなさい、と言う。
下された命令に溜息をつくほかないわけで。

禁止令が出た翌日。
それ以外にも溜息をつかなくてはいけない状況にいたりする。


「…………」
「あ、ラビ先輩のカレーうどん少しください」
「やだよ。自分がたらこスパがいいって言ったじゃん」
「けち!じゃあ、梅のえびピラフ頂戴」
「あ、うん。どうぞ」
「梅、いやなら嫌ってちゃんと言うのが高校生だぞ」


お昼ご飯、理由も分からず集まった3人。
そしてそこにぽつりといる私。
いかにも不自然すぎて自分が何をしているのかさえも忘れる。


「これうまっ!次これにしよっかな」


呑気にえびピラフを口に含み笑う陸嵩。
ご飯粒が口についているのを馬鹿にして笑う雪兎。
そしてひたすらえびピラフを食べ続ける梅沢。
……おかしい、どう考えてもおかしい。
いつものランチセット(ベーグル、ミルクココア)を口に運ぶのさえ躊躇う。


「あのさ」


思い切って口を開く。


「ん?ほぉふぃふぁ?」


陸嵩が口にスパゲッティを含んだままこっちをみた(汚い)。
たぶん“どうした”と言いたかったのだと思う。