『あいつ、好きって言う感情自体分からないんだよ』
え、と聞き返しそうになってやめた。
まだ何ありそうだ。
『親に、愛された事ないだろう?……兄にもらった愛情もそれが愛情かも分からないままいなくなったし。だから与えられる愛って物が理解できないんだよ』
「……分からない?」
『そ、だからお前の気持ちが迷惑だとかそゆのはねえよ』
それで安心できるような言葉ではなかった。
だが雪兎が言っている事は事実なのだろう。
そう思うことで少しだけ胸のつっかえが取れたようなそんな気がした。
雪兎に聞こえないように小さく溜息をつく。
「これから分かってもらえますかね……?」
不安の色を隠せない声に雪兎は笑った。
『それはお前次第、だな』
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