ワックスを立て無造作にセットされた髪は風に揺られていて。 長い睫毛も、第2ボタンまで開けたシャツから見える首筋も。 すべて眩しいくらい綺麗だと思った。 放課後のグラウンドから聞こえる、元気のある声。 友達同士の笑い声。 そんなもの聞こえないくらいに、私は目の前の湊のことでいっぱいだった。 そしてもう一度名前を呼ぼうとした時、湊の声によって遮られた。