晴れ、時々、運命のいたずら




「松本、城…。」



有名な城として名前は聞いた事はある。



「俺、元々松本市出身なんだ。もし良かったら、今度一緒に松本城に行かない?凄く綺麗できっと素敵なポエムが書けると思うから。」



「私を…、連れて行ってくれるの?」



「うん!」



どこまでも無邪気な稔の顔を見ていると、思わず穂乃花の顔にも笑みが浮かんできた。



「ありがとう…。お願いします。」



「じゃあ、いつ行くか、また考えて報告するね。あっ、やっばーい、休み時間が終わるー、トイレ行きたかったんだー。」



ニコニコしながらも慌てて教室を出て行く稔の後姿を見つめながら、穂乃花は軽く頭を下げた。



(千葉君…、いつも優しくしてくれてありがとう…。)



そこへ、稔と入れ違いで教室に入ってきた女子生徒が少し睨みながら穂乃花に近づいてきた。


穂乃花の前の椅子に座る。



「宮崎さん。」



「はい…。」



呼ばれた声に反応し顔を上げると、学級副委員長の岡山美咲(おかやまみさき)がキッとした顔で睨んでいた。


学級副委員長だけあって、普段からリーダーシップを取り、クラス中の取りまとめをいつも1人で行っている。


ただ、気が強い性格も相まって近寄れない存在でもあった。