晴れ、時々、運命のいたずら




千曲市での転校初日の授業を無事終え、穂乃花は1人、道を覚える為あてもなく歩いていた。


やがて目の前に大きな川が見える。


千曲川。


長野県から新潟県にかけて流れている一級河川で、長野県では千曲川、新潟県に入ると信濃川と呼ばれる全長367キロメートルの日本で一番長い川。


大きな千曲川を横切る千曲橋の袂の河川敷は、野球グラウンドがあるほど広く、また緑も整備されて公園のようになっている。


散歩をしている人、ランニングしている人がちらほら見えるが、のどかな雰囲気が感じられた。



(ここ…。素敵な場所…。)



穂乃花は河川敷に降りると、出来るだけ千曲川が見渡せる場所を選んでその場に腰かけた。


鞄から小さなノートを取り出す。


パラパラとめくり白紙の部分を開く。



(素敵なポエムが思い付きそう…。)



静かに目を閉じて、聞こえる音、声を全て拾う。



『千曲川の優しさに浸りながら、私は歩き出す…。』



そのまま穂乃花は暫く暖かな風を感じていた。