『今日で…、最後だな。』
『いつの日か、ステージの上にいる私を翔太に迎えに来て欲しいから…。』
『苦しい時、辛い時があったら、このお守りを見て香川を思い出して。故郷は、裏切らないから…。』
『必ず、東京に迎えに行くから…。』
1日たりとも手放した事がない黄色いお守り。
(そう、私は翔太の隣にいて相応しい女になりたくて、ただそれだけが望みで…。
その望みを叶える為に東京に出ていった。
もう2年。
やっとこの日が来たね…。
今の私が翔太にとって相応しい女になったか分からないけれど、今の私をしっかり見て欲しい。
徳島有紗という女をしっかりと見て欲しい…。)
「着いたわよ。」
千夏の言葉で車が停まっている事に気付く。
「母さん…。」
問いかけた言葉を無視するように千夏は車を降りる。
有紗も車を降りると、空を見上げた。
雪は降り続いている。
先程よりも強くなったようだ。
暫く見上げてから前を向くと、いつの間にか千夏が俯きながら先を歩いている。
有紗も黙ってついて行く事にした。

