有紗は改めて座ると、直美は先程自分の机から持って来ていた色紙を目の前に出した。
「これは…。」
「これが、有紗ちゃんの明日からの名前。明日からこの名前で活動して貰いますから。」
色紙に書かれていた名前。
『富山愛姫』
「とやま…。」
名前の読み方を悩んでいると直美が説明してくれた。
「あいひめと書いてえみ、と読むの。」
(とやまえみ…。)
「これが芸名って事ですか?」
千夏が確認する。
「ええ、そうですよ。これからこの名前を一生懸命売り出しますからね。」
(徳島有紗から富山愛姫…。)
「明日はスタジオに行きますから。そこで、有紗ちゃん、いや、愛姫のパートナーを紹介するので。」
「わ、分かりました。」
あまりにも早い展開に、有紗は戸惑いの表情を浮かべながらも、必死に返事をした。
「スタジオは渋谷ではなくて、六本木だから宜しくね。」

