「それとね。」
直美が話題を変えた。
「マネージャーって分かる?」
「何となくは…。」
マネージャー。
有紗の知識では、いつも傍にいるイメージしかない。
「マネージャーは、担当アイドルのスケジュール管理から、テレビ局、新聞社等との交渉まで幅広くフォローしてくれる存在で、うちはそれほどアイドルやタレントを抱えている訳ではないから、基本はマネージャー1人で複数担当して貰っているの。
けれど有紗ちゃんは何と言ってもうちのエースになって貰わなければならないから、ユニットを組んでもらう、もう1人と2人を1人のマネージャーで担当して貰う事にしたから。」
直美は簡単に説明を終えると、目線を島根に移した。
「ここに居る、島根が有紗ちゃんのマネージャーになるから。」
「改めて、宜しくお願い致します。」
ソファの後ろでじっと立っていた島根が深々と頭を下げる。
その態度に恐縮し、思わず有紗も立ち上がって同じように頭を下げた。
(何だか、島根さんって堅そうで真面目そうだからやりにくいな…。)
島根と初めて出会ったのが小学6年生の時。
のど自慢大会の会場だ。
何も語らず、じっと直美の背後で直立不動に立っている島根をその頃から何となく近寄りがたいと思っていた。

