晴れ、時々、運命のいたずら




数分待たされた後、受付カウンターの右手にある扉が開いた。



「ようこそ、お待ちしておりました。」



島根が2人に向かって頭を下げる。



「社長がお待ちですので。」



千夏と有紗は、島根に続いて中に入ると、広いフロアが目の前に入ってきた。


そのフロアには机が何台も並べており、男女5名ほどの事務員が電話対応やパソコンで何か打ち込んでいたりと忙しなく動いている。



(芸能事務所ってこんな感じなんだ…。)



事務員達の脇を抜け、突き当りにある扉の前で止まる。


扉には社長室と書かれてある。



「社長、到着されました。」



「どうぞ。」



扉の中から声が聞こえた事を確認し、島根は扉を開いて千夏と有紗に中に入るよう促した。



「わざわざよく来て下さいました。」



社長の直美が笑顔で2人を迎える。



「さぁ、どうぞ座って。」



社長室にある大きなソファに直美と向かい合って座った。



「これ…、もし宜しければ事務所の皆様で…。」



千夏が菓子折りを差し出す。



「香川の名産、和三盆です。」



和三盆、四国東部で作られる砂糖の一種。


その口どけの良い甘さから、和三盆だけで固めたお菓子が香川県の名産品になっている。