「着きましたよ。」
原宿にある、引っ越したばかりのマンション。
駐車スペースに車を止めて島根が先に降りる。
「ロビーまででいいですよ。」
「いえ、先日の事がありましたから。今日は中の玄関まで一緒に行きます。」
「大丈夫ですけど…。」
少し苦笑いを浮かべながら、着いてくると言う島根を連れて、5階までエレベーターで昇る。
「部屋はどちらですか?」
「ここ曲がった突き当りですよ。」
玄関の前に到着する。
「本当にもういいですよ。」
「いいえ、扉を開けてしっかり鍵を閉めるまでは帰れません。」
相変わらずの事務的な口調で伝えてくる。
「分かりました…。」
扉に体を向け鍵穴に差して開けた。
「では、今日は…。」
振り返り島根に別れを告げようとした瞬間、抱きしめられそのまま家の中に入れられた。
(島根、さん?)
声を掛ける余裕もなく、島根の力強い腕が愛姫を抱きしめたまま部屋の奥へと進んでいく。
リビングまで引きずられると、思い切りソファに投げ飛ばされた。

