晴れ、時々、運命のいたずら




「香織さんの携帯アプリには何が入っていたのですか?」



帰りの車の中。


運転しながら島根が後部座席の愛姫に問いかけてきた。



「軽井沢。特設テント。ラジオ公開生放送。出演者7組。登場5番目。10代男性5人。10代女性5人。少し声が出てない事が反省点。名古屋。ショッピングモール…。」



「自分の活動を記録していたって事ですか?」



「はい。お客様の年齢層、時間、会場の雰囲気、歌声、踊り、司会者とのやり取り。自分が見て感じた事全て記録していました。」



そして、愛姫が一番香織に対して感激した事。



『富山愛姫。本名、徳島有紗。
初めて見た瞬間、その可愛らしさに自分が負けた事を悟る。
愛姫の歌声を聞いてさらに自分自身のふがいなさを感じる。
いつも素直に仕事をこなす。
冷たく言っても決して腐らない。
愛姫がパートナーで…、本当に良かったと思う。』



「香織さんって実はとても繊細だったのですね。」



(私にはとても真似出来ない。)



虚勢を張っていても実は誰よりも繊細で、不安で脆く弱い自分を見せる事が怖かったのかもしれない。



(やっぱり、私は香織に叶わないな…。)



『俺と香織は幼稚園の頃から同じ劇団で頑張ってきた仲間。いわばこの世界での幼馴染。信頼できる幼馴染。だから写真を撮られようが俺は平気。』



(幼馴染って良いな。)



鞄から黄色いお守りを握りしめる。



(翔太、Shipは解散します。ここからは私1人だよ。でもね、絶対乗り越えて見せるから。)