「滋賀健人君。」
背後で控えていた島根が思わず名前を口に出した。
「俺がずっと香織から相談を受けていたんだ。どうしようか悩んでいて。」
「そうだったんですか…。」
「香織は本当はいい奴なんだけど変にプライド高いから、本当の姿を愛姫ちゃんに見せたくなかっただけなんだよ。だから許してあげて。」
「許すも何も…。」
愛姫の目から再び涙がこぼれる。
「健人君、こんな所見られたら問題になるんじゃないですか?もう2度も写真撮られているのでしょ?」
心配しながら尋ねる島根に健人は胸を張って答えた。
「俺と香織は幼稚園の頃から同じ劇団で頑張ってきた仲間。いわばこの世界での幼馴染。信頼できる幼馴染。だから写真を撮られようが俺は平気。」
「それでも…。」
「島根、珍しく心配してるね。いつも事務的な受け答えしかしないのに…。」
「ジャパンスターさんにはお世話になっていますから。」
心配する島根をよそに、香織はもう一度愛姫に目を向けて軽く右手を愛姫の肩に置いた。
「最後のステージは張り切って頑張るから。」
「香織…。」
「しっかりと愛姫が引っ張ってね。」
(私の事、初めて愛姫、って呼んでくれた…。)
「あ、ありがとう…。」
笑顔で見つめてくる香織に感謝のあまり、愛姫はもう一度その場で泣き崩れた。

