晴れ、時々、運命のいたずら




愛姫も島根に頭を下げてから、エレベーターで3階へ向かう。


デビュー当初から愛姫個人にファンレターを送ってきているのは宮崎穂乃花とHと名乗る2人。


Hからのファンレターもこの半年間に数通届いており、内容はいつも頑張って下さいの一言だけ書いてある。


Hの正体は未だ分からない。


それでも、ファンレターが届く事は素直に嬉しかった。


エレベーターを降り、302号室へと向かう。


廊下を左折するとすぐ玄関だ。


母親の徳島千夏(とくしまちなつ)が香川に帰ってから、もう半年と少し、この部屋に1人で住んでいる。


1人では広いなと感じながらも社長の直美の計らいで住まわせてもらっている事に感謝していた。



(今日は何食べようかな?)



玄関の前に立ち、鞄から鍵を取り出す。


先程の穂乃花のファンレターのお陰で喜びに溢れていた為、気持ちが高ぶっていたのだろう。


全くの無警戒だった。


鍵穴に差そうとした瞬間、いきなり背後から抱き締められた。



「うっ。」



「待ってたよ~ん。」



(この声は…。)