晴れ、時々、運命のいたずら




「奈良香織ちゃんと、富山愛姫ちゃんのお2人です。先週、デビュー曲、私の彼を発売しました!」



またパラパラと拍手が起きる。


愛姫はステージ上から全体を眺めながら、ふと3人の観客が気になった。


1人は先程モニターで見かけた一番最初に椅子に座って待っていた女の子。


顔を見るとやはり中学生くらいに見える。


その女の子とは、何度も目が合う。



(あの子、私だけを見ている気がする…。)



自惚れている訳ではない、間違いなく、その子は香織を見ていなかった。


そして、その女の子の後ろに座っている観客。


女の子の体に隠れるようにしているが黄色いパーカーにキャップを被っているのが分かる。


雰囲気からして男性のようだ。


3人目は最前列。ステージの目の前に座る小太りな男性。


野球帽子を被り、小さめのTシャツを着て汗を拭きながらニヤニヤと眺めている。


そして自分で作ってきたのだろう。


手に持つ大きなピンク色の団扇には片面ずつ愛姫と香織の写真が貼られてある。


どうやら、熱狂的なファンのようだ。



「では、早速デビュー曲、私の彼を歌って頂きましょう!」