裏切り

三嶋財閥。この名前を聞かない人はいない。今年入学する三嶋学園はその財閥が経営する一つである。今日入学する愛は少し不機嫌気味である。なぜなら…「この度は、私たちの為にこのような盛大な式を…」目の前で話しているあの子、一体何なの!?「すげぇ~!三島財閥のお嬢さんだろ?」「経営の娘だからかしら?」「いや、そんな事でもないみたいよ。何せ、だんとつでトップだったらしいし」「あの子、テニスも上手いんでしょ?なんとか、全国大会でベスト10入りしてるとか」「ピアノもお上手なんですって。家も代々音楽一家でもあって」「才色兼備ってやつね」「凄いわ~」あちらこちらから噂されている少女は三嶋由利亜。何で、こんな子が、!いなかったら私がトップだったのに!式が終わり、先生が寮に案内する。そこでまた愛はぎりっと奥歯を噛み締める。なぜなら入学試験でトップだった者は寮の部屋で一番最大に大きな一人部屋を独り占めできるからだ。しかも景色を一望できる最上階である。2位の愛は彼女の一階下の2人部屋に入る事になった。では、皆さんご機嫌よう。今日は一日よく休んでくださいね。明日の事は校内放送するので、また後ほど。先生が去って行き愛は少しため息。「ねぇ、どちらの部屋にする?」不意に声をかけてきた少女。彼女は愛の相部屋の子である。といっても同じ階というだけだ。愛達の部屋はエレベーターから降りればすぐに、二つのドアがあるからそこで二人別れて入れば良いだけなのだ。愛は適当にエレベーターから降りた右側にあるドアを指指し「こちらにするわ」と言った。「わかったわ。」ニコッと穏やかに笑う少女。「そうだわ、まだお名前聞いてなかったわ。教えてくださらない?」「愛よ」即答で答える愛に「愛さんね。素敵なお名前ね。私の名前は欄花よ。よろしくね。」優しく微笑む欄花に愛の心も穏やかになった。「宜しくね」愛と欄花はお互いの手を握った。