朝、目が覚めた。

むせかえるような血の匂い――最も、それを血の匂いだと知るのはもっと後だが――に違和感を感じ、部屋を一歩出たとき見た光景は、私の心から消えてはくれまい。


ある者はむせび泣いて仲間の名を呼んだ。

ある者は怒鳴って裏切り者の名を呼んだ。

ある者は―――血を流して微動だにしなかった。


そして、三日月組組長だった父と共に母は死に、肉親は、兄だけになった。