「あの、あなたは誰?」

「僕?僕は、珀汰秋“しらたあき”。君は転校生ちゃんだよね??」

「秋くんか。
ん?どうして転校生って知ってるの?」

秋くんが、自慢するように

「僕って、2年生の中でも1、2を争う
情報通なんだよ♪」

2年生?後輩か・・・。

でも、なんでこんなとこに?

「秋くんは何故こんなとこにいるの?」

「何故って、授業って先生が話してるだけだし、しかもふつーにつまらないもん」

あぁ、なるほど単なるサボりか。

秋くんがキラキラした目でこっちを見ている。

「きみの名前も教えて??あと、あきくんなんて僕、嫌だよ?秋って呼んで♪」

「う、うん。分かった。あたしは久園三奈葵」

秋の顔に一瞬にして笑みが消え真顔になったような気がした・・・。

そして、

「くおん・・・、みなぎ・・・?」

そう、つぶやいた気がした・・・。

でも、それは正解で、

「ねぇ、くおんみなぎってどう書くの!?」

え・・・?

そこ?

でも、このキラキラした目には逆らえない・・・。

生徒手帳をポケットから取り出し、

「久園、三奈葵・・・、こう書くの。」

「へぇ、綺麗な名前してるね♪」

秋は笑みを浮かべそういった。

「そう?ありがとう。」

照れる様子もなく、わたしは冷たく返した。

――キーンコーンカーンコーン――

登下校兼部活動の時間を知らせるチャイムが鳴った。

なので、秋にさよならと伝え、立ち上がった。

そしたら・・・、

秋に腕をつかまれ、

「僕、明日もここいるからっ!良かったら明日も来て!」

わたしは、分かったと頷き、教室へと戻った。

―――教室へ戻ったら数人の生徒しかおらず、

時計を確認すると、短針は5時を指していた。

外からは部活動をやる声が聞こえてきていたので、

もう授業は終わったのだと分かった。

それにしても、わたしはずっとあそこで寝ていたのかと思うと、

少し恥ずかしくなった。

「寝不足にならないように気を付けよ。」

と思いながら、わたしは帰りの支度をして、

教室を出た。

学校までの距離は意外にも遠く、家に着いたのは6時だった。

「ただいま。」

「お帰りなさい。」

お母さんが台所から冷たく返す。

わたしは自分の部屋に行きこもる。

これが、わたしの家での日常。

だから、お母さんも気に留めない。


部屋に行ったわたしは疲れを感じベッドに倒れこんだ。