「それにしても災難でしたね。大島さんだって予定があったかもしれないのに、林チーフもひどいですよね。私、前から思ってたんですけど絶対、林チーフは彼女いませんよ!顔はカッコいいけど口は悪いし性格も歪んでますもんね。大島さんもそう思いません?」

馬場さんは同意を求めてきた。

どうせ私はデートする相手なんていないよ!っていうか、林チーフのプライベートなことなんて知らないよ。


「えっ、いや……」

返答に困っていると


「俺がなんだって?」


私の背後から聞こえてきた声に心臓がドキリと跳ねた。
これはまずいでしょ。

背中にヒヤリと汗が垂れてきそうなくらいの殺気を感じた。


「ヒッ……」

変な声を出し青ざめた顔の馬場さんはバッグを手に後ずさりする。



「は、林チーフ……お、お疲れさまです。お先に失礼しますっ」

動揺しまくりの馬場さんが勢いよく頭を下げ一目散に帰っていく。



嘘でしょ、残された私はどうしたら……。