「へっ……」
思考回路が一時ストップした。
今のは聞き間違いだろうか。
都合のいい夢でも見てるのかな。
林チーフが私を食事に誘ってくれるなんて……。
「そのアホ面は何だよ。まさか嫌とか言うんじゃないだろうな」
私の表情から何かを読み取ったのか、林チーフが眉間にシワを寄せる。
「そんなことは言いませんけど……」
「なら、早く来いよ」
一瞬、ホッとした表情を見せたあと、スタスタと会社裏の社員専用の駐車場に歩いていく。
ねぇ、林チーフ。
少しは期待してもいいですか?
今日、素敵な笑顔を見せてくれたこと、食事に誘ってくれたこと。
それと、あの時の、あの言葉……。
『お前と一緒に花火が見たかったんだ』
取りあえず、食事が済んだら私の気持ちを伝えてみようかな。
これから何かが始まりそうな予感を胸に、林チーフのあとを小走りで追った。



