夜空に咲く花火の下で


チラリと隣の林チーフに目をやる。
真っ直ぐに夜空を見上げているその横顔に思わず息をのんだ。

やっぱり格好いいな。
つい、見惚れてしまう。


そんな私の視線に気付いたのか、軽く眉根を寄せた。


「なんだ?」

「えっと、花火……綺麗ですね」

じっと見ていたのを誤魔化すように夜空に視線を向けると


「そうだな」

林チーフも再び夜空を見上げた。




しばらくしてピタッと花火が上がるのが止まる。
次の花火の打ち上げの準備をしているんだろうか、そんなことを考えていると林チーフが口を開いた。


「そろそろいい時間だし、降りるか。最後まで見てもいいけど腹、減ってるだろ」

「はい」


そこは素直に返事した。
お腹が空きすぎて今すぐにでもベビーカステラを食べたい気分だったから。



屋上の鍵を閉め、エレベーターに乗り込み一階まで降りる。


そして、会社を出ると林チーフが私の方に振り返り一言。


「大島、飯、食いに行くぞ」


その言葉に目を見開いた。