夜空とオモチャ箱。



「――そんな都合の良い女になるなよ」


ブスッと怒って弟の方は私を睨む。
誠実で、好きな人だけに一途なんだ。

私は多分、違う。

兄貴の方を思ったまま、この私を思ってくれている弟と付き合える。



「うん。余りにも非現実過ぎて笑っちゃうよね」

あんなツマラナい奴をどうして放っておけないんだろうか。


どうしてこんなに好きなんだろう。



知らず知らずに泣けてきた。



好きなのに、
両思いなのに、
全ては手に入らないのに、

キスできる距離なのに、

なのに苦しくて切なかった。



私は全て受け止めたいとも思わない。
格好良い、大人なアイツの部分だけが好きだから。



この涙は、――失恋。



失ったものはデカすぎた。




「アンタもこんな風に泣くから、私みたいなのに惚れるなよ」


オロオロと私の涙を見て狼狽えていた弟にそう告げた。

傷つけるだけだから、止めた。

愛に飢えた私は、すがりつく場所を無くした。
そうしなければ、いけなかった。



「じゃぁ、ね。好きになってくれてありがとう。
変わらずに友達で居てね」


私は投げつけた枕を受け取ると、立ち尽くす弟に手を振った。