「――そんな都合の良い女になるなよ」
ブスッと怒って弟の方は私を睨む。
誠実で、好きな人だけに一途なんだ。
私は多分、違う。
兄貴の方を思ったまま、この私を思ってくれている弟と付き合える。
「うん。余りにも非現実過ぎて笑っちゃうよね」
あんなツマラナい奴をどうして放っておけないんだろうか。
どうしてこんなに好きなんだろう。
知らず知らずに泣けてきた。
好きなのに、
両思いなのに、
全ては手に入らないのに、
キスできる距離なのに、
なのに苦しくて切なかった。
私は全て受け止めたいとも思わない。
格好良い、大人なアイツの部分だけが好きだから。
この涙は、――失恋。
失ったものはデカすぎた。
「アンタもこんな風に泣くから、私みたいなのに惚れるなよ」
オロオロと私の涙を見て狼狽えていた弟にそう告げた。
傷つけるだけだから、止めた。
愛に飢えた私は、すがりつく場所を無くした。
そうしなければ、いけなかった。
「じゃぁ、ね。好きになってくれてありがとう。
変わらずに友達で居てね」
私は投げつけた枕を受け取ると、立ち尽くす弟に手を振った。



