中庭で瑛を見つけた。夕方やからか人がアタシら以外居らん。そっと瑛のそばに座る。

「なぁ…。」
「な…何や。」
「なんで入院してること言うてくれへんかったん?前会うたときはもう入院しとったんちゃうん?」

瑛は俯いたまま答えようとせん。
ふと唇を見ると、ギュッと噛みしめてる。

あ…。そういうことか…。

「…あんた、アタシになんか隠してるんとちゃう?」
「はぁ!?オレは何にも…」
「あんたが唇噛むときはなぁアタシに言われへんようなこと隠してるときや。」
「な…何で分かんねん!!」
「何年幼なじみやってる思てんねん!そんぐらい分かるわ!!ホンマあんたって嘘つくのヘタやでなぁ…」
「……や。」
「ん?何…」

振り向くと同時に目の前が暗くなる。
顔を上げると、アタシは瑛の腕の中。

「お前に心配かけとうなかったんや!!」
「…え?」
「オレに癌(ガン)が見つかったって言うたらお前の顔から笑顔が消えてまいそうで…!」

アタシのことをさらに力強く抱きしめながら不安そうに言った。

アタシが顔を上げてみると瑛の目には涙が溜まっていた。