さよならの夏

しばらくするとチャイムが鳴り響いた。1限目が始まる合図。

「ねぇ唯。教科書、もらってないでしょう? 私の見せてあげる」

「本当? ありがとう、嬉しい」

微笑む彼女が愛おしいと感じた。お互い机をくっ付けて、真ん中に教科書を置くと授業の準備をする。私はそっと、唯の手に触れた。手を重ねて握り合う。

「陽とこうしているとね、落ち着くの」

「私も唯とこうしてると落ち着くんだ。不思議だね、会ったばかりなのに……」

そう言うと彼女は一瞬目を逸らす。それを私は見逃さなかった。何か悪いことを言ってしまったのかな……

「そうだね、本当に不思議だね」

再び私を見て手を握り締める。私は少しホッとして小さく頷いた。