文句を言いながらも、結局はあたしのわがままを聞いてくれる翔が大好き。
『撮るよー♪3、2、1…』
───カシャッ
1枚目は、普通に並んでピース。
我ながら普通すぎると思う。
『どんどん行くよお♪』
何度も繰り返すシャッター音と、フラッシュの光。
その光と音を、しっかりと体中に焼き付ける。
そして──何よりも、翔の笑顔を。
「何これっ!あたし半目じゃんっ。
うわ、この翔の顔ひどー」
「……。
お前の顔の方がひどい。
ホレ、これ見てみ」
翔が指差したプリクラを見ると、確かにあたしは相当な変顔をしていた。
ドレス着ながら変顔してるカップルって……。
プリクラのあちこちに散りばめられた、ハートのスタンプ。
手が疲れるくらい、何回も書いた"大好き"。
教会の背景に、顔がにやける。
「はい、美音の分」
翔は、できたてのプリクラを半分に切ってあたしに渡した。