───《美音へ》



そんなありきたりな言葉から始まっていたメールがあたしのケータイに届いたのは、

翔との"最後"のデートに行こうとしていた時だった。



《美音へ

元気ですか??
って、一昨日電話したばっかりなのに、この質問はおかしいか。


ふと、思い出しました。

美音と一緒に遊んだときのこと。

"幼なじみ"とか、"親友"って程関わった訳じゃなかったけれど、それでも美音はあたしの友達だったんだよ。

美音は覚えてるかな?

あたしが石につまずいて、転んで、大泣きした日のこと。
膝からふきだした血が止まらなくて、あたしは泣くことをやめようとしなかったよね。

そんなあたしを安心させてくれたのが、美音だった。

美音が笑顔で「あたしが隣にいるよ」って言ってくれたから、あたしも笑顔になることができたんだよ。

あたしはあの日のこと、永遠に忘れないと思う。


美音、ごめんね。
最後にあたしが言った、『今度遊びに行くね』っていう約束、守れそうにない。