お母さんの言ってる意味がわからず、チラリと翔の表情を伺う。
翔も、あたしと同様に何がなんだかわからない様子だった。
とりあえず、お母さんの言った通りにリビングへ向かう。
わずか20段もないはずのなのに、とてつもなく長く見える階段。
それはまるで、今のあたしを表しているかのよう。
リビングに近づくにつれ、深い闇に終わりが見え始める。
大音量とは言えない。
でも、聞こえない程じゃない。
そのくらい微妙な音が、だんだんと聞こえ始めてくる。
『…――え―…、先ほど――…』
階段を降りながらだと、うまく聞き取ることが出来ない。
降りてる最中。翔は、ずっとあたしの手を握ってくれていた。
やがてついたリビングで、あたしは信じられない言葉を耳にする。
「…うそ…」
目の前が真っ白になって、何も考えられないくらいに。
そう。あたしが余命を告げられた、あの日のように。

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