「…あたし。ずっとずっと、翔のこと、純粋に好きでいたい。
ダメかなあ……?」



ただ言葉を並べているだけなのに、胸からこみ上げてくるこの感情は、何なんだろう。



「ダメな訳ないじゃん。
美音が、俺のことずっと好きでいてくれる。
それ以上に嬉しいことなんてないよ」



翔。
そう言ってくれて、ありがとう。


その言葉を聞けて、よかった。
その一言で、あたしは決心がついたよ。



神様。あたしの命を奪おうとするあなたが、正直憎いです。


これから先、隣にいるこの人と生きていきたい、そう思うのに

それさえも叶えてくれないあなたなんて大嫌い。


神様。あなたはあたしの最後の願いを叶えることができますか?


あたしは、翔を、たった1人の大切な人を守れる力だけが欲しいです───…。





「…美音…」

「翔…?」



目の前にあるこの笑顔を守りたい。

守りぬきたい。



「好きだよ────…」


どちらともなく交わした、最後の口づけを

密かに輝く月だけが見ていた。