───《橋本翔は、里村美音に永遠の愛を誓います》───




たった1枚の紙切れに、堂々と書かれた約束。


几帳面な字で、はっきりと。



『…ばかじゃないの…』



口ではそう言いながらも、あたしの弱い涙腺は、再び涙を通そうとしていた。


そんなことは、もちろん翔には内緒だけど。



『婚姻届とまではいかないけど…
俺なりの、美音への愛の証』



翔は、普段はこんな、キザなことは言わない。

だから、彼の顔が真っ赤だったことは、言うまでもないだろう。


だけど、あたしに永遠の約束をくれた。

こんなあたしを、嫌いにならないでいてくれた。





ねえ、翔は覚えてるのかな?


あたしたちの心が、初めて繋がった日のことを。


そう言えばあの日は、今日みたいにじめじめしていなくて

カランと晴れた、冬の始まりの日だったね。


あの日がなければ今のあたしたちはいなくて

こんなに胸が苦しくなることも、なかっただろう。