「はあ…」
ため息が聞こえた。
それと同時に、足音が耳に響く。
翔が、あたしのベッドから離れていく足音が。
嫌…嫌だ…。
行かないで。
そばにいて。
自分で布団にこもったくせに、わがままばっかり。
こんなあたし、自分で自分が嫌だ。
でも、嫌われたくない。
翔が大好きだから、嫌われたくないの。ただ、それだけなの。
翔があたしのすべてなの。
「待って……!」
思い切り布団を持ち上げて、体を起こす。
布団に潜っていたせいでじめじめしていた空気が、一気に爽やかな空気に入れ替わる。
ベッドから離れたところにあると思っていた翔の顔は、案の定目の前に。
「!?」
「びっくりした?」
ニイ、と笑うその笑顔は、あの頃からちっとも変わっていない。
…ていうか。
「近い…」
顔を真っ赤にするあたしなんてお構いなしに、あたしの背中に回る翔の手。
「翔…?」

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