あたしの誕生日、入学式に加えて、七夕やバレンタインなど、
行事という行事のほとんどを頭にいれて、そのたびにうかれている
そんな、お父さんだった。
それなのに、今目の前にいる、俯いていて暗い顔をしているこの人は、本当にお父さんなのだろうか?
…ああ、そうか。あたしがそんな顔をさせちゃってるんだね………。
「お父さん」
あたしがそんな顔をさせちゃっているのなら
それは、自分で解決するしかない。
誰の為でもなく、自分の為に。
「もう1つ、話があるの」
お父さんはもう、言葉を発する気力さえも失っていた。
俯いたまま、何も言わない。
「あたし、この人…翔と、付き合ってるの。
それで、あたし死ぬ前に、翔と結婚したいの」
本当は。この台詞は、翔が言う予定だった。
余命のことはあたしが伝えて、結婚のことは翔が伝える、と。
それぞれに分担して言うことで、2人の想いを、分かってもらえるのではないかって。

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