あたしが病気に犯されているということは、紛れもない現実。


避けようと目を背けても、背けることのできない運命。


それは、この腕にある大きな痣が物語っている。



けれど、この運命から逃れることが出来ないのなら、できることをしよう。


残された時間は、地球の歴史からしたら1ミリにも満たないかもしれない。


それならば、その1ミリにも満たない時間を、精一杯に過ごしてみよう。


隣にいる、愛しい人と共に。


流した涙は無駄じゃなかったから。


今までの涙を、強さにかえて。


進んでいたい。強くある為に。


大丈夫。あたしには、翔がついているから。


今から涙は流さない。

涙を流しても、すべてが解決できる訳じゃないと、分かっているから。


だからあたしは、笑う。

残された時間を、笑って過ごす。


隣にあるこのぬくもりを、信じて。